燃えよ万平
~ 時代劇鑑賞の記録と独り言 ~
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銭形平次 第521話 平次一番勝負
第521話 平次一番勝負 (脚本: 野上龍雄、監督: 井沢雅彦)
八五郎は、万七との将棋に勝てなかった悔しさから、将棋に強いという六助 (汐路章) に弟子入りしようと訪ねる。 将棋に集中する六助には話を聞いてもらうこともできなかったが、代わりに六助の娘・おみよ (高田瞳) が教えてくれることになって大喜び。 が、それもつかの間、おみよは何者かに殺害されてしまう。 血文字で謎の言葉 「ろく」 を書き残したおみよの無念を晴らすと誓う八。 だが、今度は六助が首を括って死んでいるのが見つかる。 おみよが殺された日、六助が真砂屋庄兵ヱ (北原義郎) の出資で賭け将棋をしており、六助が死んだのは勝負に負けたからに違いないと聞いた平次は、その相手、岡嶋算哲 (菅貫太郎) を訪ねる。 医者の看板を掲げながら、「本職は賭け将棋」 と言い切る算哲は、六助との勝負も最初から自分が優勢だったと話すが、その勝負の指し手を見た棋士の天野宗歩 (真部一男) から、1日目の封じ手で、既に六助が勝ったも同然だったと聞いた平次は、真砂屋を通して、自ら算哲に千両の賭け将棋を申し込む。
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【所感】
長いと思っていたGWも今日で終わり。 連休最後の夜は、名作劇場で締めようということで選ばれたのが、これ。 何と言っても、六助 = 汐路章の名演が光る1本。 将棋を教えてもらおうと八五郎が訪ねた際、その気配に全く気付かず、将棋盤とにらめっこしているのだが、閉じた口の下唇だけをモゴモゴさせる細かい芝居、そして、銀将の駒を手に 「泣いてる……。 銀が泣いてる……」 とつぶやく。 それを聞いて、「珍しいですね、この駒、泣くんですか?」 などと言いながら、駒を耳に当ててみる八 (おバカなんだから、もう…)。 が、それにも全く答えず、「この銀が泣いてる!」 と、駒で盤を叩く……という、ほんの短いシーン。 これだけで、この話は我が家では名作と呼ばれてしまう (笑)。 六助がどれほど将棋が好きで入り込んでしまっているのか、わかりすぎるほどわかるし、ちょっと妖怪っぽい汐路章を楽しめるところもポイント。 この後は、真砂屋の回想で喋るシーンがあるだけ……と、出番は少ないのだが、印象は非常に強い。 やはり、ただ者ではない。
ちなみに、回想シーンでは、娘に嫁入り道具を揃えてやるために金が欲しい、と真砂屋に賭け将棋への出資を頼む際、「あっしの目を見ておくんなさい」 と顔を上げる → アップになる。 …怖いです (^^;) そりゃ、真砂屋も承知するしかなかろう。
賭け将棋プロの算哲、平次の申し入れを罠ではないか……と怪しむところまではよかったのにね。 手下の菊之助 (平野康) に押し切られちゃったのが運のつき。 平次がお静を使いに出すのを聞いて (これが本当の罠だったのにねー)、「ほぅ……」 という感じで、にんまりと企み笑顔のアップがステキすぎ。
天野宗歩 (そうふ) を演じた真部一男は、プロ棋士。 当時は五段で、「将棋会のプリンス」 と呼ばれていたそうだが、昨年、亡くなられたとのこと。 天野宗歩というのも、幕末に実在した棋士なのだそうだ。 この辺のことも含めて、将棋がわかればもっと楽しめたんだろうな、この話。
さて、事件は無事に解決。 ラスト・シーンでは、「天野宗歩の立会いのもとで、日本将棋史上、まれに見る名人戦が行われた」 とのナレーションが入り、将棋を指す平次と万七が映る。 それぞれの王将が自陣に戻ってきちゃったりする長い勝負になったようで、天野宗歩は扇子の影で大あくび。 どちらが勝ったかについては、「いかなる記録にも残されていない」 とのこと (笑)。